処分性とは?重要判例とともに徹底解説|行政書士試験


処分性とは?重要判例とともに徹底解説|行政書士試験

行政書士試験の行政法、とりわけ記述式対策で避けて通れないテーマが「処分性」です。
「原告適格」「取消訴訟の対象」と並び、答案の合否を分ける重要論点として毎年のように問われています。

この記事では、処分性の基本的な考え方から、試験で必須となる判例の整理まで、試験で点になる視点に絞って解説します。


目次

処分性とは何か|まず押さえるべき結論

行政書士試験における「処分性」とは、

取消訴訟の対象となる行政庁の行為かどうか

を判断するための要件です。

取消訴訟の対象となる行為であれば「処分性あり」とされ、
対象とならない行為であれば「処分性なし」とされて、訴えは却下されます。


取消訴訟の対象とは?|行政事件訴訟法の基本

取消訴訟の対象は、行政事件訴訟法3条2項に定められています。

「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」

つまり、処分性があるかどうかは、
「それは行政庁による処分といえるのか?」
という点に集約されます。


行政庁の処分・公権力の行使とは?

結論から言うと、次の 2つの要件を満たすと「処分性あり」と判断されます。

処分性の2要件

公権力の行使であること
個別・具体的な法的地位の変動が生じること
(=特定の者に対して、権利や義務が直接発生・消滅すること)

難しく感じるかもしれませんが、
試験対策としては次のイメージで十分です。

✔ 許可・不許可
✔ 認定・不認定
✔ 給付の支給・不支給
✔ 私権を制限する行政判断

このような行為は、原則として「処分性あり」と考えます。


行政書士試験で最重要なのは「判例」

処分性は、条文よりも判例の積み重ねによって判断基準が形成されています。
そのため、行政書士試験では、

  • 処分性が 認められた判例
  • 処分性が 否定された判例

をセットで整理することが不可欠です。


処分性が認められた判例(処分性あり)

輸入禁止の製品に該当する旨の通知(最判昭54.12.25)

税関長が「その書籍は輸入禁止品に該当する」と通知した結果、
当該書籍は適法に輸入できなくなるという法的効果が生じます。

➡ 通知であっても、特定人の権利行使を直接制限するため、処分性あり。


第二種市街地再開発事業計画の決定(最判平4.11.26)

事業計画の決定・公告により、
住民は立退き等の不利益を受ける可能性が現実化します。

➡ 住民の法的地位に直接影響 → 処分性あり。


二項道路の一括指定の告示(最判平14.1.17)

一括指定であっても、
個々の土地所有者には建築制限等の具体的私権制限が発生。

➡ 個別具体的効果あり → 処分性あり。


労災就学援護費の支給決定(最判平15.9.4)

支給決定があって初めて、
具体的な給付請求権が発生します。

➡ 公権力の行使+権利発生 → 処分性あり。


食品衛生法に基づく違反通知(最判平16.4.26)

違反通知により、

  • 関税法上の確認不可
  • 輸入申告が受理されない

という法的効果が生じます。

➡ 実質的に輸入を阻止 → 処分性あり。


病院開設の中止勧告(最判平17.7.15)

形式上は「行政指導」ですが、
従わなければ保険医療機関の指定を受けられず、
実際には病院開設が不可能になります。

➡ 実質的拘束力を考慮し、処分性あり。


土地区画整理事業計画の決定(最判平20.9.10)

公告後、建築制限などが課され、
土地所有者の法的地位が直接変動。

➡ 実効的権利救済の観点からも処分性あり。


保育所廃止条例の制定行為(最判平21.11.26)

特定の保育所を廃止する条例により、
在園児と保護者の保育を受ける法的地位が直接奪われます。

➡ 条例でも例外的に処分性あり。


処分性が否定された判例(処分性なし)

墓地・埋葬に関する通達(最判昭43.12.24)

通達は、行政内部に向けた指示にすぎず、
国民を直接拘束しません。

➡ 外部効果なし → 処分性なし。


日本鉄道建設公団の実施計画に対する認可(最判昭53.12.8)

行政機関相互の監督関係にとどまり、
国民の権利義務を直接形成しません。

➡ 内部行為 → 処分性なし。


簡易水道事業条例の制定(最判平18.7.14)

水道料金の改定は、
不特定多数に一般的に及ぶもの。

➡ 個別具体性がない → 処分性なし。


工業地域指定の決定(最判昭57.4.22)

地域指定の効果は抽象的・一般的であり、
個人の権利侵害が直ちに生じるわけではありません。

➡ 処分性なし。


【試験対策】判例の処分性整理表

判例処分性判断のポイント
輸入禁止該当通知あり輸入不可という直接的法効果
第二種市街地再開発計画あり住民の権利義務に直接影響
二項道路一括指定あり私権制限が具体的に発生
労災就学援護費支給決定あり給付請求権の発生
食品衛生法違反通知あり輸入手続が遮断される
病院開設中止勧告あり実質的拘束力
土地区画整理事業計画あり建築制限等の発生
保育所廃止条例あり特定人の法的地位を直接剥奪
墓地・埋葬通達なし行政内部行為
公団実施計画認可なし行政機関相互の行為
水道料金改定条例なし一般的・抽象的
工業地域指定なし不特定多数への影響

まとめ|処分性は「具体性」と「直接性」で判断する

処分性の判断で迷ったら、次の2点に立ち返ってください。

  • 誰の権利義務が、いつ、どう変わるのか
  • その変動は、他の行為を待たずに直接生じるのか

この視点を持てば、記述式でも説得力のある答案が書けるようになります。

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この記事の監修者

大山 悠太(おおやま ゆうた) 大山 悠太(おおやま ゆうた) 大山ゼミナール代表講師

【経歴】
2014年12月:宅地建物取引士大学在学中合格(独学3ヶ月)
2016年4月:同志社大学法学部法律学科卒業後、新卒で不動産デベロッパーへ入社。入社後はマンション売買営業、人事部で新卒採用業務に従事。
2018年1月:行政書士試験合格(独学6ヶ月1日1時間1発合格)
2019年5月:退職後、リンクス綜合法務行政書士オフィス開業
2022年6月:行政書士事務所を経営しながら、司法試験予備試験短答式試験合格
2022年11月:司法試験予備試験論文式試験民法上位4.6%
2022年12月:行政書士試験オンラインスクール開校(大山ゼミナール)
2023年1月:行政書士法人クローバー法務事務所へ法人化
【日本行政書士連合会登録番号】
第19261116号

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