差止めの訴え(抗告訴訟の一種)とは?徹底解説|行政書士試験

差止めの訴え(抗告訴訟の一種)とは?徹底解説|行政書士試験
行政書士試験の行政法、とくに記述式対策で毎年のように問われるのが、抗告訴訟の各類型です。
その中でも「処分が出る前」というタイミングが重要になるのが、差止めの訴えです。
本記事では、
- 差止めの訴えの定義
- 根拠条文と試験での押さえ方
- 具体例とイメージ
- 記述式で差がつくポイント
を体系的に解説します。
抗告訴訟と主観訴訟の位置づけを整理しよう
まず前提知識を簡単に確認しておきましょう。
主観訴訟とは?
主観訴訟とは、
個人の権利または法律上保護された利益の救済を目的として提起される訴訟
をいいます。
行政事件訴訟法では、抗告訴訟や当事者訴訟がこれに該当します。
抗告訴訟とは?
抗告訴訟とは、
行政庁の公権力の行使(処分・裁決等)について、その違法性を争う訴訟
をいい、以下の5類型があります。
- 取消訴訟
- 無効等確認訴訟
- 不作為の違法確認の訴え
- 義務付けの訴え
- 差止めの訴え
今回解説するのは、このうちの差止めの訴えです。
差止めの訴えとは?【定義と根拠条文】
差止めの訴えの定義
差止めの訴えとは、
行政庁が一定の処分または裁決をしてはならないにもかかわらず、
これがされようとしている場合に、
当該処分または裁決をしてはならない旨を命ずることを求める訴訟
をいいます。
📌 最大のポイント
👉 「処分・裁決がされる前」に提起する訴訟であること
ここは行政書士試験で非常に狙われやすい部分です。
根拠条文(行政事件訴訟法)
行政事件訴訟法37条の4 第1項
行政庁が一定の処分又は裁決をすべきでないにかかわらずこれがされようとしている場合において、
その処分又は裁決により重大な損害を生ずるおそれがあるときは、
当該処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることを求める訴えを提起することができる。
記述式では、
「処分前」「重大な損害」「差止め」
というキーワードをセットで使えるかが重要です。
差止めの訴えの具体例【イメージで理解】
例えば、次のようなケースです。
Aが建物を建築したところ、
甲県から「この建物は違法建築の可能性があります」と行政指導を受けた。Aは違法建築ではないと考えているが、
このまま放置すると、将来的に除去命令という処分が出されるおそれがある。
この場合、
まだ除去命令という処分は出ていないものの、
将来の処分により重大な損害を受ける可能性があります。
👉 そこでAは、
除去命令をしてはならないという内容で、
差止めの訴えを提起することができます。
差止めの訴えの訴訟要件【3つすべて必要】
差止めの訴えは、要件が非常に厳しい訴訟です。
以下の3要件をすべて満たす必要があります。
① 処分・裁決により重大な損害が生ずるおそれがあること
単なる不利益では足りません。
回復困難な損害が想定される必要があります。
② その損害を避けるため他に適当な方法がないこと
取消訴訟など、
事後的な救済では不十分であることが求められます。
③ 法律上の利益を有する者であること
その処分により、
直接自己の権利・利益が侵害される立場である必要があります。
📌 試験対策メモ
👉 この3要件は、非申請型義務付け訴訟と共通
セットで覚えると効率的です。
差止め訴訟の勝訴要件【認容されるのはいつ?】
差止めの訴えが認められるためには、次のいずれかを満たす必要があります。
① 行政庁が処分をすべきでないことが明らかである場合
法令違反が明白なケースです。
② 処分が裁量権の逸脱・濫用に当たると認められる場合
裁量はあるが、
その行使が社会通念上著しく妥当性を欠くような場合です。
👉 いずれかを満たせば認容判決(原告勝訴)
👉 どちらも満たさなければ棄却判決
行政書士試験・記述式での狙われ方【プラスα】
よくある出題パターン
- 「処分前に争える抗告訴訟は何か」
- 「重大な損害を避けるための要件を示せ」
- 「差止めの訴えと取消訴訟の違いを説明せよ」
📌 差止め=事前救済
📌 取消訴訟=事後救済
この対比を答案で使えると、評価が一段上がります。
まとめ|差止めの訴えは「タイミング」で差がつく
差止めの訴えは、
- 抗告訴訟の一種
- 処分・裁決がされる前に提起
- 重大な損害+補充性+法律上の利益が必要
- 勝訴要件は「違法が明白」または「裁量逸脱・濫用」
という特徴を持つ訴訟です。
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