無効等確認の訴え(抗告訴訟の一種)とは?徹底解説|行政書士試験

無効等確認の訴え(抗告訴訟の一種)とは?徹底解説|行政書士試験

行政書士試験の行政法・記述式対策において、取消訴訟と並んで理解しておきたい重要テーマ
「無効等確認の訴え」です。

一見するとマニアックですが、
✔ 抗告訴訟の分類
✔ 取消訴訟との使い分け
✔ 当事者訴訟・争点訴訟との関係

が問われやすく、記述式で差がつく分野でもあります。
本記事では、条文を押さえつつ、受験生が「なるほど」と腹落ちする形で整理します。



目次

無効等確認の訴えとは?

行政事件訴訟法の類型上、
無効等確認の訴えは「抗告訴訟」の一種に位置づけられます。

抗告訴訟とは、

行政庁の公権力の行使によって権利や利益を侵害された個人が、その違法性を争う訴訟

をいいます。

その中でも無効等確認の訴えは、

処分または裁決が「存在しない」こと、または「効力を有しない」ことの確認を求める訴訟

です。


無効等確認の訴えの根拠条文

行政事件訴訟法3条5項

「無効等確認の訴えとは、処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無の確認を求める訴訟をいう。」

出典:e-Gov法令検索行政事件訴訟法:リンクはこちら

この条文を答案で一度でも書けるかどうかが、
記述の評価を大きく左右します。


行政行為の公定力と「無効」の関係

行政行為には、原則として公定力があります。

👉 つまり、
たとえ違法でも、取消されるまでは一応有効
という扱いを受けます。

しかし、
違法性があまりにも重大で、かつ外形上も明らかな場合には話が別です。

このような場合、
👉 行政行為は 最初から効力を生じない(当然無効)
とされます。

この「当然無効」であることを確認するのが、
無効等確認の訴えです。


重大かつ明白な瑕疵とは?

意味の整理

要素内容
重大性行政行為の違法が、制度の根幹を揺るがすレベル
明白性一般人の目から見ても、外形的に明らか

※ 重大性は、相手方の信頼・取引安全などを考慮し、個別具体的に判断されます。

試験対策的まとめ

行政書士試験では、

「重大かつ明白な瑕疵がある行政行為は無効」

定型的に押さえておけば十分です。


具体例で理解する(頻出)

例:
不動産を取得していないAに対し、不動産取得税の課税処分がされた場合

👉 課税要件を欠き、
👉 しかも外形的にも明らか

このような処分は、重大かつ明白な瑕疵があるとして無効となり、
Aは無効等確認の訴えを提起できます。


無効等確認の訴えの2つの類型

無効等確認の訴えには、
①予防的無効確認の訴え
②補充的無効確認の訴え
の2種類があります。

類型内容
予防的将来の損害を防ぐため
補充的他の訴訟では目的を達成できない場合の救済

予防的無効確認の訴え

概要

処分や裁決そのもの、またはそれに続く処分によって
将来、損害を受けるおそれがある場合に提起します。

典型例

不動産取得税の課税処分
→ 納付しなければ
→ 滞納処分(差押え等)が予定される場合

👉 課税処分の無効を確認してもらうことで、
将来の滞納処分による損害を防止できます。

要件(試験で狙われる)

  • 処分・裁決に続く処分によって
    損害を受けるおそれがあること

補充的無効確認の訴え

概要

すでに処分がなされており、
「現在の法律関係の確認を求める訴え」では目的を達成できない場合に提起します。

ポイントは
👉 「他の訴訟手段では足りないから、補充的に認められる」
という位置づけです。


現在の法律関係の確認では足りない場合とは?

具体例

Bが宅建業免許を申請
→ 不許可処分

処分前:宅建業できない
処分後:宅建業できない

👉 「現在も免許がない」という確認をしても意味がない
👉 Bの目的は「不許可処分の無効を主張し、再審査を受けること」

この場合、
補充的無効等確認の訴えが認められます。


実質的当事者訴訟が選択される場合

公務員Cが懲戒免職処分を受けたケース

Cの目的:
👉 現在も公務員としての地位を回復すること

この場合は、
「免職処分は無効だ」ではなく、
「現在も公務員としての地位にあることの確認」を求める

実質的当事者訴訟が適切


争点訴訟が選択される場合

土地収用により土地を失ったDが
「収用裁決は無効だから、土地の所有権は自分にある」と主張する場合

👉 相手方は行政庁ではなく起業者
👉 私人同士の所有権争い

この場合は、
土地所有権確認の訴え(争点訴訟=民事訴訟)となります。


実質的当事者訴訟と争点訴訟の違い

項目実質的当事者訴訟争点訴訟
当事者私人 vs 行政主体私人 vs 私人
性質行政訴訟民事訴訟
目的公法上の地位確認私法上の権利確認

補充的無効確認の訴えの要件(最重要)

次の2つを両方満たす必要があります。

  1. 法律上の利益を有すること
  2. 現在の法律関係の確認を求める訴えでは目的達成ができないこと

➡ この「2要件セット」は
記述式の定番フレーズです。


試験対策プラスα(差がつくポイント)

当事者訴訟・争点訴訟との選択関係は記述頻出

無効等確認の訴えは
取消訴訟の代わりではない

「取消せる処分」か
「そもそも無効な処分」か
を常に意識する

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この記事の監修者

大山 悠太(おおやま ゆうた) 大山 悠太(おおやま ゆうた) 大山ゼミナール代表講師

【経歴】
2014年12月:宅地建物取引士大学在学中合格(独学3ヶ月)
2016年4月:同志社大学法学部法律学科卒業後、新卒で不動産デベロッパーへ入社。入社後はマンション売買営業、人事部で新卒採用業務に従事。
2018年1月:行政書士試験合格(独学6ヶ月1日1時間1発合格)
2019年5月:退職後、リンクス綜合法務行政書士オフィス開業
2022年6月:行政書士事務所を経営しながら、司法試験予備試験短答式試験合格
2022年11月:司法試験予備試験論文式試験民法上位4.6%
2022年12月:行政書士試験オンラインスクール開校(大山ゼミナール)
2023年1月:行政書士法人クローバー法務事務所へ法人化
【日本行政書士連合会登録番号】
第19261116号

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