行政手続法2条(定義)をわかりやすく解説|行政書士試験

行政手続法2条(定義)をわかりやすく解説|行政書士試験

行政書士試験の行政法で、理解が浅いと一気に失点する条文――
それが**行政手続法2条(定義)**です。

この条文は、

  • 行政手続法がどこまで適用されるのか
  • 何が「処分」で、何が「処分でない」のか
  • 不利益処分・行政指導の境界線

を決定づける、いわば全体の設計図です。

択一はもちろん、記述式でも2条の定義を正確に使えるかどうかで答案の質が変わります。
ここでは、試験で必須の定義を条文ベースで整理し、注意点まで押さえます。


目次

行政手続法2条とは?

行政手続法2条は、この法律で使われる重要用語の定義規定です。
条文を理解せずに行政手続法を学ぶことは、
「ルールの意味を知らずにスポーツをする」のと同じです。


法令とは?【2条1号】

定義(条文)

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 法令 法律、法律に基づく命令(告示を含む。)、条例及び地方公共団体の執行機関の規則(規程を含む。以下「規則」という。)をいう。

出典:e-Gov法令検索行政手続法リンク

ポイント解説


→ 行政手続法の適用対象の判断をするにあたって前提知識となるため、本条1号は必ず整理しましょう。


処分とは?【2条2号】

定義(条文)

行政手続法2条2号
「処分」とは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為をいう。

注意点(試験頻出)

  • 審査請求・再調査請求に対する裁決・決定
     → 処分に該当しない
     → 行政手続法は適用されない

理由はシンプルで、
行政手続法の対象は
①処分 ②行政指導 ③届出 ④命令等
であることと、以下の通り、行政手続法の(適用除外)の条文に審査請求に対する裁決等は除外されているからです。
第三条 次に掲げる処分及び行政指導については、次章から第四章の二までの規定は、適用しない。

(適用除外)
第三条 次に掲げる処分及び行政指導については、次章から第四章の二までの規定は、適用しない。
一 国会の両院若しくは一院又は議会の議決によってされる処分
二 裁判所若しくは裁判官の裁判により、又は裁判の執行としてされる処分
三 国会の両院若しくは一院若しくは議会の議決を経て、又はこれらの同意若しくは承認を得た上でされるべきものとされている処分
四 検査官会議で決すべきものとされている処分及び会計検査の際にされる行政指導
五 刑事事件に関する法令に基づいて検察官、検察事務官又は司法警察職員がする処分及び行政指導
六 国税又は地方税の犯則事件に関する法令(他の法令において準用する場合を含む。)に基づいて国税庁長官、国税局長、税務署長、国税庁、国税局若しくは税務署の当該職員、税関長、税関職員又は徴税吏員(他の法令の規定に基づいてこれらの職員の職務を行う者を含む。)がする処分及び行政指導並びに金融商品取引の犯則事件に関する法令(他の法令において準用する場合を含む。)に基づいて証券取引等監視委員会、その職員(当該法令においてその職員とみなされる者を含む。)、財務局長又は財務支局長がする処分及び行政指導
七 学校、講習所、訓練所又は研修所において、教育、講習、訓練又は研修の目的を達成するために、学生、生徒、児童若しくは幼児若しくはこれらの保護者、講習生、訓練生又は研修生に対してされる処分及び行政指導
八 刑務所、少年刑務所、拘置所、留置施設、海上保安留置施設、少年院又は少年鑑別所において、収容の目的を達成するためにされる処分及び行政指導
九 公務員(国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第二条第一項に規定する国家公務員及び地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第三条第一項に規定する地方公務員をいう。以下同じ。)又は公務員であった者に対してその職務又は身分に関してされる処分及び行政指導
十 外国人の出入国、出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第六十一条の二第一項に規定する難民の認定、同条第二項に規定する補完的保護対象者の認定又は帰化に関する処分及び行政指導
十一 専ら人の学識技能に関する試験又は検定の結果についての処分
十二 相反する利害を有する者の間の利害の調整を目的として法令の規定に基づいてされる裁定その他の処分(その双方を名宛人とするものに限る。)及び行政指導
十三 公衆衛生、環境保全、防疫、保安その他の公益に関わる事象が発生し又は発生する可能性のある現場において警察官若しくは海上保安官又はこれらの公益を確保するために行使すべき権限を法律上直接に与えられたその他の職員によってされる処分及び行政指導
十四 報告又は物件の提出を命ずる処分その他その職務の遂行上必要な情報の収集を直接の目的としてされる処分及び行政指導
十五 審査請求、再調査の請求その他の不服申立てに対する行政庁の裁決、決定その他の処分
十六 前号に規定する処分の手続又は第三章に規定する聴聞若しくは弁明の機会の付与の手続その他の意見陳述のための手続において法令に基づいてされる処分及び行政指導
出典:e-Gov法令検索行政手続法

申請とは?【2条3号】

定義(条文)

行政手続法2条3号
「申請」とは、法令に基づき、行政庁の許可、認可、免許その他自己に対し何らかの利益を付与する処分を求める行為であって、当該行為に対して行政庁が諾否の応答をすべきこととされているものをいう。

押さえるべき要点

  • 法令に基づくこと
  • 行政庁が応答義務を負うこと

👉 単なる届出や、応答義務のない行為は「申請」ではありません。


不利益処分とは?【2条4号】

定義(条文)

四 不利益処分 行政庁が、法令に基づき、特定の者を名あて人として、直接に、これに義務を課し、又はその権利を制限する処分をいう。ただし、次のいずれかに該当するものを除く。

イ 事実上の行為及び事実上の行為をするに当たりその範囲、時期等を明らかにするために法令上必要とされている手続としての処分
ロ 申請により求められた許認可等を拒否する処分その他申請に基づき当該申請をした者を名あて人としてされる処分
ハ 名あて人となるべき者の同意の下にすることとされている処分
ニ 許認可等の効力を失わせる処分であって、当該許認可等の基礎となった事実が消滅した旨の届出があったことを理由としてされるもの

出典:e-Gov法令検索行政手続法

不利益処分に「当たらない」もの(超重要)

次のものは不利益処分から除外されます。

  • 不特定多数を対象とする処分
  • 権利を与える処分
  • 事実上の行為(立入検査など)
  • 申請に対する拒否処分
  • 名あて人の同意がある処分
  • 事実消滅(死亡等)を理由とする免許取消し
  • 行政指導・行政指導に従わない場合の公表

👉 「義務を課す or 権利を制限するか?」が判断基準です。


行政機関とは?【2条5号】

定義(条文要旨)

行政機関とは、次の機関および職員を指します。

  • 内閣・内閣府・各省庁
  • 委員会・庁
  • 宮内庁
  • 会計検査院
  • 地方公共団体の機関(※議会は除く)

✔ 地方議会は含まれない点に注意


行政指導とは?【2条6号】

定義(条文)

行政手続法2条6号
行政機関が、その任務又は所掌事務の範囲内において、一定の行政目的を実現するため、特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって、処分に該当しないものをいう。

試験で狙われるポイント

  • 任務・所掌事務の範囲外 → 違法
  • 「~するな」という不作為の行政指導もある
  • 処分に該当するものは行政指導ではない
  • 行政機関相互間の行政指導 → 行政手続法は不適用

届出とは?【2条7号】

定義(条文)

行政手続法2条7号
行政庁に対し一定の事項の通知をする行為(申請に該当するものを除く。)であって、法令により直接に当該通知が義務付けられているものをいう。

注意点

  • 届出 ≠ 申請
  • 婚姻の届出は「申請」に該当(試験定番)

命令等とは?【2条8号】

定義(条文要旨)

命令等には次の4つがあります。

  1. 法律に基づく命令・規則
  2. 審査基準
  3. 処分基準
  4. 行政指導指針

この「命令等」は、行政手続法39条の意見公募手続(パブリックコメント)と強く関係します。


命令等の分類(試験対策)

区分性質
法律に基づく命令・規則法規命令(外部拘束力あり)
審査基準・処分基準・行政指導指針行政規則(外部拘束力なし)

✔ 行政規則に反しても直ちに違法とはならない


まとめ(記述で使える整理)

  • 行政手続法2条は「用語の設計図」
  • 処分・申請・不利益処分の区別が超重要
  • 行政指導は強制力なし
  • 命令等はパブコメとリンク

行政手続法2条の本質

行政手続法2条は、処分や行政指導等の意義を定義し、同法の適用範囲を明確にする規定である。

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この記事の監修者

大山 悠太(おおやま ゆうた) 大山 悠太(おおやま ゆうた) 大山ゼミナール代表講師

【経歴】
2014年12月:宅地建物取引士大学在学中合格(独学3ヶ月)
2016年4月:同志社大学法学部法律学科卒業後、新卒で不動産デベロッパーへ入社。入社後はマンション売買営業、人事部で新卒採用業務に従事。
2018年1月:行政書士試験合格(独学6ヶ月1日1時間1発合格)
2019年5月:退職後、リンクス綜合法務行政書士オフィス開業
2022年6月:行政書士事務所を経営しながら、司法試験予備試験短答式試験合格
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