取消訴訟とは?原処分主義・裁決主義まで徹底解説|行政書士試験


取消訴訟とは?原処分主義・裁決主義まで徹底解説|行政書士試験

行政書士試験の行政事件訴訟法で、
記述式・択一式ともに最重要テーマの一つが「取消訴訟」です。

  • 行政処分に不服があるとき、どの訴訟を使うのか
  • 誰を被告にするのか
  • 審査請求との関係はどうなるのか

これらを理解するための中心概念が、
原処分主義・裁決主義・審査請求前置主義です。

本記事では、
👉 取消訴訟の定義 → 3原則を条文とともに整理 → 比較表で一気に理解
という流れで解説します。


目次

取消訴訟とは何か

取消訴訟の概要

取消訴訟とは、
行政庁の違法な処分または裁決の効力を、裁判によって取り消すことを求める訴訟です。

行政事件訴訟法上、取消訴訟は
👉 抗告訴訟の中心的類型
と位置づけられています。


取消訴訟の定義(行政事件訴訟法3条2項)

条文(引用)行政事件訴訟法

(抗告訴訟)
第三条 この法律において「抗告訴訟」とは、行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟をいう。
2 この法律において「処分の取消しの訴え」とは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(次項に規定する裁決、決定その他の行為を除く。以下単に「処分」という。)の取消しを求める訴訟をいう。

出典:e-Gov法令検索

解説

ポイントは次の3点です。

  • 対象は「処分」または「裁決」
  • 違法性が問題となる
  • 効力を将来に向かって失わせる訴訟

この点、行政書士試験では
「取消訴訟=違法な処分の効力を除去する訴訟」
と理解できれば十分です。


原処分主義とは

原処分主義の内容

原処分主義とは、
原則として、取消訴訟の対象は最初に行われた処分(原処分)である
という考え方です。

条文(行政事件訴訟法10条1項)

「処分の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求に対する裁決があった場合においても、当該処分の取消しを求めることができる。」

解説

  • 審査請求をしても
  • 裁決が出ても

訴訟では原処分そのものを争える
これが原処分主義です。


裁決主義とは

裁決主義の内容

裁決主義とは、
例外的に、審査請求に対する裁決そのものを訴訟の対象とする考え方です。

条文(行政事件訴訟法10条2項)

「裁決の取消しを求める訴えは、当該裁決に固有の違法がある場合に限り、提起することができる。」

解説

裁決主義が認められるのは、

  • 裁決手続自体に違法がある
  • 裁決特有の判断ミスがある

といった**「裁決固有の違法」**がある場合に限られます。

👉 原処分の違法は、原処分主義で争うのが原則。


審査請求前置主義とは

審査請求前置主義の内容

審査請求前置主義とは、
取消訴訟を提起する前に、原則として審査請求を経なければならない
とする制度です。

もっとも、後述の通り、審査請求前置は法令に規定がある場合に妥当します。

条文(行政事件訴訟法8条1項)

第八条 処分の取消しの訴えは、当該処分につき法令の規定により審査請求をすることができる場合においても、直ちに提起することを妨げない。ただし、法律に当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ処分の取消しの訴えを提起することができない旨の定めがあるときは、この限りでない。

解説

ただし、
行政書士試験では必ずセットで押さえるべきポイントがあります。

  • 原則前置が不要であるが、法律で前置が必要となる場合がある

原処分主義・裁決主義・審査請求前置主義の関係

ここで一度、3つの考え方を整理します。


【概念整理表】取消訴訟の基本構造

概念内容ポイント
原処分主義原則として原処分を争う裁決後でも原処分の取消しが可能
裁決主義例外的に裁決を争う裁決固有の違法が必要
審査請求前置主義法律に来ていなければ、審査請求不要法律に規定されていれば審査請求前置が妥当する


まとめ|取消訴訟は「構造理解」で差がつく

取消訴訟は、暗記だけでは対応できません。

  • 何を争うのか(原処分 or 裁決)
  • いつ訴訟を起こせるのか
  • なぜその制度があるのか

という構造的理解が、記述対策の決め手になります。

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この記事の監修者

大山 悠太(おおやま ゆうた) 大山 悠太(おおやま ゆうた) 大山ゼミナール代表講師

【経歴】
2014年12月:宅地建物取引士大学在学中合格(独学3ヶ月)
2016年4月:同志社大学法学部法律学科卒業後、新卒で不動産デベロッパーへ入社。入社後はマンション売買営業、人事部で新卒採用業務に従事。
2018年1月:行政書士試験合格(独学6ヶ月1日1時間1発合格)
2019年5月:退職後、リンクス綜合法務行政書士オフィス開業
2022年6月:行政書士事務所を経営しながら、司法試験予備試験短答式試験合格
2022年11月:司法試験予備試験論文式試験民法上位4.6%
2022年12月:行政書士試験オンラインスクール開校(大山ゼミナール)
2023年1月:行政書士法人クローバー法務事務所へ法人化
【日本行政書士連合会登録番号】
第19261116号

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