義務付けの訴え(抗告訴訟の一種)とは?徹底解説|行政書士試験

義務付けの訴え(抗告訴訟の一種)とは?徹底解説|行政書士試験

行政書士試験の行政法、とくに記述式対策で確実に押さえておきたいのが
「義務付けの訴え」です。

不作為の違法確認訴訟・取消訴訟・無効確認訴訟と
どう使い分けるのかを理解しているかどうかで、
答案の評価は大きく変わります。

この記事では、

  • 義務付けの訴えの定義
  • 非申請型・申請型の違い
  • 要件・勝訴要件
  • 条文根拠
  • 記述式での書き方のコツ

まで、試験目線で整理します。



目次

義務付けの訴えの位置づけ

行政事件訴訟法では、
国民の権利利益を守るために行政訴訟を類型化しています。

義務付けの訴えは、

👉 主観訴訟
👉 抗告訴訟

の一つに分類されます。


主観訴訟・抗告訴訟の確認

主観訴訟とは

個人の権利・法律上の利益の救済を目的とし、
自己に直接関係する行政活動を争う訴訟です。

抗告訴訟とは

行政庁の**公権力の行使(または不行使)**について、
その違法性を争う訴訟をいいます。

義務付けの訴えは、
👉 行政庁がすべき処分をしないこと
を問題にする抗告訴訟です。


義務付けの訴えとは?

定義(超重要)

義務付けの訴えとは、

行政庁が一定の処分又は裁決をすべきであるにもかかわらず、
これがされない場合に、
当該行政庁に対して
その処分又は裁決をすべき旨を命ずることを求める訴訟

をいいます。

ポイント

  • 単なる「違法の確認」ではない
  • 具体的な処分を命じてもらう点が最大の特徴

根拠条文(行政事件訴訟法)

行政事件訴訟法3条6項・7項

「義務付けの訴えとは、行政庁が一定の処分又は裁決をすべきであるにもかかわらず、これがされない場合において、その処分又は裁決をすべき旨を命ずることを求める訴訟をいう。」

出典:e-Gov法令検索行政事件訴訟法:リンク

義務付けの訴えは、

  • 非申請型(1号)
  • 申請型(2号)

の2種類に分かれます。


非申請型義務付け訴訟(1号義務付け訴訟)

概要

非申請型義務付け訴訟とは、
申請を前提とせず
行政庁に対して
「この処分をしなさい」と求める訴訟です。


具体例

甲市内に違法建築物が存在しているにもかかわらず、
甲市が除去命令などの権限行使を一切行わない場合。

このとき、
隣地住民は甲市に対し、

👉 「建物の除去命令を出してください」

と、非申請型義務付け訴訟を提起できます。


非申請型義務付け訴訟の訴訟要件

1号義務付け訴訟が適法となるには、
次の3要件すべてを満たす必要があります。

  1. 一定の処分がなされないことにより
     重大な損害を生ずるおそれがあること
  2. その損害を避けるため
     他に適当な方法がないこと
  3. 行政庁に処分を命ずることについて
     法律上の利益を有する者であること

👉 1つでも欠けると
👉 不適法却下となります。


非申請型義務付け訴訟の勝訴要件

原告が勝訴(認容判決)するためには、
次のいずれかを満たす必要があります。

  • 行政庁がその処分をすべきことが
     明らかであること
  • 行政庁が処分をしないことが
     裁量権の逸脱・濫用にあたること

👉 どちらも満たさない場合は
👉 棄却判決(原告敗訴)です。


申請型義務付け訴訟(2号義務付け訴訟)

概要

申請型義務付け訴訟とは、
法令に基づく申請や審査請求をしたにもかかわらず

  • 不作為が続く
  • 拒否処分を受けた

場合に、
👉 「許可処分をしてください」
と求める訴訟です。


具体例

Aが建築主事に建築確認申請をしたが、
拒否処分がなされた場合。

Aは、
👉 建築確認をすべき旨を命じる
申請型義務付け訴訟を提起できます。


申請型義務付け訴訟の訴訟要件

申請型義務付け訴訟は、
不作為型拒否処分型に分かれます。

不作為型

  • 法令に基づく申請・審査請求がされたこと
  • 相当期間内に処分・裁決がされないこと
  • 不作為の違法確認訴訟と併合提起すること

拒否処分型

  • 却下・棄却処分がされたこと
  • その処分が
     取消されるべき、または無効・不存在であること
  • 取消訴訟または無効確認訴訟と併合提起すること

申請型義務付け訴訟の勝訴要件

類型勝訴要件
不作為型行政庁が処分・裁決をすべきことが法令上明らか
拒否処分型処分をしないことが裁量権の逸脱・濫用

不作為の違法確認訴訟との関係

  • 不作為の違法確認訴訟
     👉 違法の確認まで
  • 義務付け訴訟
     👉 処分を命じる

👉 試験に
両者はセットで出題されやすい点に注意です。


試験対策プラスα(記述で差がつく)

  • 非申請型=申請なし
  • 申請型=申請あり
  • 不作為型は
     👉 不作為の違法確認訴訟と併合
  • 拒否処分型は
     👉 取消訴訟・無効確認訴訟と併合
  • 「明らか」か「裁量逸脱・濫用」かを使い分ける

👉 これを押さえれば、
義務付け訴訟の記述はほぼ満点答案になります。

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この記事の監修者

大山 悠太(おおやま ゆうた) 大山 悠太(おおやま ゆうた) 大山ゼミナール代表講師

【経歴】
2014年12月:宅地建物取引士大学在学中合格(独学3ヶ月)
2016年4月:同志社大学法学部法律学科卒業後、新卒で不動産デベロッパーへ入社。入社後はマンション売買営業、人事部で新卒採用業務に従事。
2018年1月:行政書士試験合格(独学6ヶ月1日1時間1発合格)
2019年5月:退職後、リンクス綜合法務行政書士オフィス開業
2022年6月:行政書士事務所を経営しながら、司法試験予備試験短答式試験合格
2022年11月:司法試験予備試験論文式試験民法上位4.6%
2022年12月:行政書士試験オンラインスクール開校(大山ゼミナール)
2023年1月:行政書士法人クローバー法務事務所へ法人化
【日本行政書士連合会登録番号】
第19261116号

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